『人の己を知らざるを患(うれ)えず、人を知らざるを患う』
~人に自分を理解してもらえないことを不満に思うより、
自分が人を理解できていないことを問題と思え~
これは「論語」に編纂されている一文で、私が以前から好きな言葉です。
中国は春秋戦国時代の真っ只中に生きた孔子の思想は、戦国時代ならではの世界観と
人間観から、理想的な国家と優れた君主を思い描き、
その道として礼儀・思いやり精神を説いたものでした。
これは人としての魅力“人格・人間力・人徳”を追求したもので、
2500年以上経った今の世の中でも、学ぶところが多々あると感じます。
「お客様と向き合うのでなく、お客様と同じ方向を見る」
先日ある人からこんな話を聞いた時に、ふとこの「論語」の一文を思い出したわけです。
お客様の立場になって…私も部下を抱える立場になり、そんな指導を部下にするのですが、
本当にできているのか、形だけの接客じゃなく本当にお客様の立場になった振舞いができているのか。
また、自分自身も対する部下たちの立場になって指導できているのか。
相手を理解する…相手の気持ちを共感することによって、自分への信頼が出来上がる。
自分のことよりもまずは人のことを思いやる心が、人格者を作り出しその人の周りに人が集まる。
私はそうであると確信しております。
気が付けば私も有楽に入社して15年以上経ち、何百人とのスタッフ、何千人とのお客様と接してきました。
そのひとりひとりが十人十色で、思うこともそれぞれです。
もちろん、私と思うところに隔たりがある人もいました。
それでもまずは相手の立場で話を聞き、少し相手を思いやるだけで、その後の気持ちはお互い悪くないはずです。
有楽グループで取り組んでいる「ハッピーサイクルプロジェクト」は、
お客様の立場になって、心から楽しんで欲しいという思いから出来上がっています。
住吉店のゴールの4つの項目【遊・楽・幸・縁】は、
すべてに相手を思いやる精神が込められています。
それはお客様だけでなくスタッフ同士も。
押しつけのサービス、耳触りの良い綺麗事な目標、それは独りよがりのエゴだと思います。
そこには、相手のことは考えられていません。
相手を少しでも理解しようという心の余裕をみんなが持てたとき、【遊・楽・幸・縁】が完成されると思います。
自分が人からされてうれしいと思ったことは、自分が人にしてあげたら喜ばれるし、
自分が人からされて嫌なことは、人もして欲しくないと思う。
当たり前のことですが、これがなかなか大変なことです。
人を理解する、相手を思いやり相手の心に近づく。
その精神がお店、会社組織、そして人間社会に笑顔をもたらす鍵であると思います。
それができる人を私は心から尊敬しますし、そんな人に憧れます。
この先、私自身もいかなる立場になっても、そんな気持ちを持ち続けて、
関わるすべての人の“一番の理解者”でありたいと想い日々に臨んでいます。
有楽グループ 住吉北店
次長 矢野 章