こんにちは!
有楽青果部看板娘です!
すっかり秋めいて、このまま急に寒くなりそうな今日この頃ですが、
晩秋のこの時期だからこそ楽しめる果物がいろいろと出てくる時期でもあります。
今回ご紹介するのはまさにこれから旬を迎えるフルーツ。
「ラ・フランス」です!
毎年、11月になると果物コーナーに必ず並ぶのでご存知の方も多いとは思います。
ラ・フランスは「洋ナシの女王」と呼ばれる品種です。
ラ・フランスに多く含まれる消化吸収のよいショ糖、果糖は、
病中病後の体力回復を助け、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸には、
体の代謝活動を促進し疲労を回復させる効果があります。
また、体内の余分なナトリウム(塩分)を尿とともに排泄してくれるカリウムも、
比較的多く含まれるので、高血圧の予防にも効果があります。
主な産地は、もちろん山形県。全国シェアNo.1でどこにも負けない品質を誇っています。
ラ・フランスが山形県で栽培されるようになったのは大正初期。
元々はバートレットという加工用の洋ナシを受粉させるためだけに、
バートレットの畑で細々と栽培されていたそうです。
フランスで発見されたときには、
~そのおいしさに「わが国を代表するにふさわしい果物!」と賛美し、
ラ・フランスの名前がついた~
という逸話が残っているほどおいしいとされた品種なのに、
生食用ではなく受粉樹としての役目しかなかったのは何故でしょう???
その原因は、お世辞にも美味しそうに見えない見た目と栽培時の手間の問題でした。
ラ・フランスは開花が早いわりに、結実が遅い果樹です。
開花から結実までの期間が長いということは、
それだけ長い期間、人の手をかけて生育しなくてはならないということです。
ラ・フランスはとても美味しいということは生産者の間では有名でしたが、
当時、洋ナシを生食で食べる習慣がなく需要がなかったため、
その手間をかけてまで育てる価値がないと当初は思われていたんですね。
しかし1970年ごろから生食用の洋ナシが注目されるようになり、
ラ・フランスは1985年に現在のような生産体制が整いました。
さて、1970年ごろに生食用の洋ナシが注目を集めなければ、
生産体制が整うことすらなかったラ・フランスですが、
そもそも、何故生食する習慣がなかったんでしょう?
日本において「梨」といえば、当然「和梨」である幸水や豊水を思い浮かべます。
「和梨」は収穫したらできるだけ早く食べたほうが美味しいですよね。
その「梨」=「和梨」のイメージが「洋ナシ」にとっては落とし穴だったんです。
ラ・フランスを「和梨」のように収穫後すぐ食べたとします。
はっきり言っておいしくないです。
石のように硬く、ゴリゴリとした食感に味もそっけもない果肉。
どこが女王だ!となるはずです。
実は「洋ナシ」というのは、「和梨」と違い追熟をじっくりじっくり待つことで、
ようやくその本当のおいしさを味わえる果物なのです!!
ラ・フランスは収穫されてから2~3週間追熟させることで食べごろになります。
収穫後、産地の大型冷蔵庫で熟成されたあと出荷され私たちの手元に届きますが、
私たちが手にしたときはまだ追熟が終わっていない可能性が大です。
早く食べたいのをじっとこらえる必要があります。
購入したら常温で追熟を待ちましょう。
たくさんあって、一気に食べごろを迎えると困ってしまう場合は、
すぐに食べない分を冷蔵庫で保管すると追熟を遅らせることができます。
追熟させたくなったら冷蔵庫から常温に戻せばOKです。
ラ・フランスの食べごろサインは、
「軸の周りを軽く指で押さえて柔らかく感じるくらい」
ただし!
店頭で食べごろサインを確認するのはお控えください。
残念ながら、マナー違反ですよ!
他の果物もそうですが、軽くでも押すことで傷みが出てしまう可能性があります。
お気を付けくださいね。
話を戻しましょう。
ラ・フランスの追熟が終わって、やっとやっと食べられる状態になりました。
でも、さらにおいしい状態があるとしたら?
もっと待たなきゃいけないけど、もっともっと甘くおいしくなるとしたら?
食べてみたくないですか?
食べてみたい!と思った方は是非「完熟」まで待ってみてください。
「完熟」を見極めるポイントは3つ。
・軸の周りにしわが寄っている(軸周りの柔らかさは耳たぶくらい)
・お尻が黄ばんできて、茶褐色に変色した部分ができる
・全体に黄みを帯び、ラ・フランス独特の香りが感じられる
この3つすべてが確認出来たら「完熟」です!
すぐに食べちゃいましょう!
完熟したラ・フランスをくし形に切ろうとすると、
あふれ出す果汁ととろける果肉で、滑ってしまい手もベタベタになってしまいます。
そこで、お勧めされているのがメロンのようにスプーンですくって食べる方法。
皮をむかずに縦半分に切って、芯をスプーンで取り除いたらそのまま果肉をすくって食べます。
是非この食べ方のレポートをこの記事に載せたいと思ったわけですが………、
ラ・フランスの追熟が間に合わず載せることがかないませんでした。
この完熟ラ・フランスの食べ方は皆さんでお試しください!
また、近頃はいろんなものを冷凍保存するのが当たり前になっていますが、
ラ・フランスを冷凍保存するときは完熟になってから冷凍してください!
半解凍で食べるとねっとりとした食感のシャーベットみたいですごくおいしいですよ!
一見すると傷んでいるように見えてしまうラ・フランスの食べごろサイン。
覚えていただけましたか?
食べごろをしっかりと見極めればラ・フランスは大変おいしいフルーツです!
この記事がアップされてしばらくすると旬を迎えますので是非ご賞味くださいね。
記事担当:青果部看板娘 土井