みなさんこんにちは♪今回の住吉情報局は矢野が担当します。
それにしても今年の夏は暑かったですね~、そして長い!!
夏があまり得意ではない私にとってはいい加減にしてほしい日々でしたが、ようやく秋が少しだけ感じられる時期になりホッとしております。
今日は10月4日、なにげに今日が何の日かな?と調べてみたら「十(と)四(し)」ということで「都市景観の日」らしいです。
都市景観と聞いても「ああ、街並みね」とか「街の環境ね」とか軽く流してしまう単語ですが、何を隠そう私は大学時代に都市情報学部という学部に所属していて、この辺の分野を専門的に学んでいました。
そういうことで、今回は私が大学で学んだことを思い出しながら、これに関する話を私なりに掘り下げていこうと思います。
良い都市景観を目指すには、まずそれに向けた「街づくり」から考えなくてはなりません。
街づくりは専門的に言い換えると「都市計画」ということになります。
都市計画…こむずかしい言葉ですが意外と面白いです。
本当にざっくり簡単に言うとゲームの「シムシティ」ですよね(笑)
シムシティはちゃんと考えて街を作っていかないと、いろいろな問題が発生してくるので、都市計画の重要性を実感するのには持ってこいだと思います。
さて、そんな私が卒論で取り上げた都市問題は、現在となっては最重要な都市問題といえる大雨・洪水などによる「水害」でした。
記憶をたどって…私は学生時代、豊明市の実家暮らしでアルバイトは有楽グループ新田店(当時ニュー豊明店)で楽しくやっていました。
忘れもしません、2000年9月11日に愛知県地方は大雨による大洪水に見舞われましたね。(東海豪雨)
新田店前の道路は川のようになり、近くの低い土地は1階部分が水没していたのを覚えています。
豊明市の隣、大府市は街の中心部が水没してしまい、より大きな被害を受けました。
ちなみに有楽グループでは、新築ピカピカ大東店の半地下バックヤードが水浸しになり、さらに共和店では横の川が氾濫して、当時の先輩スタッフが泳いで帰宅していました。
おっと、話が飛んでしまいましたね。
そういった経緯から卒論テーマを水害に決めた訳です。
現在でこそ一般的になった「ハザードマップ」は、都市計画で重要な役割を果たし、都市機能の配置・色分けの必須アイテムです。
都市機能の配置・色分けに関わるキーワードが「線引き」「地域地区」「用途地域」の3つです。
はじめに線引きとは…街の開発、発展を促進する「市街化区域」と、逆に開発・発展を抑制する「市街化調整区域」の2つに色分けすることです。
開発や発展を抑制するとか、なぜ一見マイナスと思える部分をあえて設定するのかというと、適切な農地の確保などの理由の他に、先ほどのハザードマップが関係してくるのです。
次に地域地区とは…都市内をどのような用途・環境で土地利用するのかを、色分け選定したものです。
具体的には歴史的建造物が多い街並みを維持する地区や、緑地を保全する地区、火災の燃え広がりを特に防止する地区などがあります。
最後の用途地域は、前述の市街化区域内でどのような都市機能を配置していくのかを、まさに色分けしたものです。
この用途地域はその土地で建設可能な建物の種類や用途など決めるもので、引っ越しや家を新築したりなど私たちの生活に身近なものなので、詳しく紹介してみたいと思います。
まず用途地域は、大きく住居系・商業系・工業系の3つに分類されます。
住居系は静かな住環境を維持するものから、利便性を兼ねるものまで全部で8種類あります。
① 第一種低層住居専用地域
マンションなども無く、おもに2階建て住宅しか建設できない閑静な住宅地に全振りした建物規制が一番厳しい地域。
② 第二種低層住居専用地域
マンションなどは無いですが、第一種より大きな建物ができ、コンビニや小さな店舗が建設できるので少しだけ利便性を求めた地域。
③ 第一種中高層住居専用地域
建物の高さ制限が緩和されマンションなどが建設でき、学校・病院やスーパーなど少し大きな施設ができる利便性をさらに高めた住居地域。
④ 第二種中高層住居専用地域
大型のショッピングセンターや中規模オフィスビルが建設できるので、住居専用地域ではいちばん賑やかな地域。
ここからは住居系ではありますが、「専用」という言葉がなくなり住む人への配慮レベルが少しずつ下げられ、産業色が強くなる地域4種です。
⑤ 第一種住居地域
住居地域とはしつつも建物の大きさや用途の制限がかなり緩和され、ホテルなどの宿泊施設、ボウリング場やバッティングセンターなどスポーツ施設もできるにぎやかな地域。
⑥ 第二種住居地域
さらに制限が緩和され、パチンコ店・マージャン店の風俗営業やカラオケボックスなども可能になるため、静かに暮らしたい人には向かない地域。
⑦ 準住居地域
住居系でもっとも許容範囲が広く、ちょっとした工場や倉庫などもできるようになり、産業色が濃いので色々なものが混在する地域で、大きな幹線道路沿いに多い。
⑧ 田園地域
これは住居系というか特殊な地域で、農業色が強く住宅のほか農業施設ができるが、建物の大きさや用途規制は第一種低層住居専用地域と同程度に厳しい。
ここからは住居よりも産業に特化した商業系・工業系の地域の紹介です。
⑨ 近隣商業地域
ショッピングセンターやホームセンターなど、生活に必要な商業施設をメインとし、映画館や劇場などもある賑やかな地域。
⑩ 商業地域
駅前や都心といった人が集まることを目的にした地域で、建物の大きさや用途規制の許容範囲が最も広く、全てにおいて一番賑やかな地域。
⑪ 準工業地域
工業をメインとしたエリアだが、住居の建設も可能なので環境や人体に影響を及ぼす工場の建設ができないほか、パチンコ店やボウリング場など商業系の用途も含む地域。
⑫ 工業地域
基本どんな工場でも建てられるほか、住宅や店舗も建てられるが、ホテルや映画館、病院、学校などはできない工業のための地域。
⑬ 工業専用地域
その名のとおり工業の専用地域で、化学工場など環境に大きな影響を及ぼす工場もあるため、住宅、商業系の施設は存在しない地域。
ひと通りの用途地域を紹介してきましたが、それぞれの都市の用途地域の分布を表したものに、「都市計画図」というものがあります。
有楽グループのようなパチンコ店が建設できる規制も、この用途地域で決められていて、それに沿って立地されているのが分かったと思います。
ここに住吉店がある半田市の実際の都市計画図を示します。
半田市内の有楽グループは、住吉・東浜店は準工業地域に、衣浦店は工業地域に立地していることが分かります。
みなさんも今住んでいる都市や地域の用途地域と、実際の景観や特徴など照らし合わせてみて、その関係性を感じてみるのも面白いと思います。
また、色分けした都市計画図を見て、実物のシムシティとして行政がどのような街づくりをしたいのか?どんな問題点があるのか?など考察してみるのもいいかもしれませんね。
記事担当:住吉店 矢野